2018年11月18日日曜日

IPv6接続が遅くなる3つの原因とその対処法

IPv6接続が遅くなる原因とその対処法
IPv6接続のサービスが多くのプロバイダーで提供されるようになって、IPv6を利用する人も増えてきていると思う。最近では、IPv6接続に対応したルーターなどの製品も増え、ハード面でもIPv6対応が進んできている。

しかしながら、これまでIPv4接続が主流だったため、IPv6に対応していないネットワーク機器が残っていたり、ネットワークの設定がIPv6で接続する設定になっていなかったりする場合もある。そのような場合、IPv6の接続速度が遅くなったり、IPv6接続できなかったりする状態に陥ってしまう。

この記事では、IPv6接続が遅くなってしまう原因とその対処法を3つのケースに分けて紹介する。


IPv6接続が遅くなる原因1|LANケーブルが対応していない
IPv6接続に成功していても、ネットワーク機器がIPv6の環境に対応していないとIPv6の性能を十分に発揮することができない。その例として、まず挙げられるのがLANケーブルのカテゴリーが低いケース

LANケーブルにはいくつかカテゴリーが存在して、そのカテゴリーごとに回線速度の上限が決まっている(下の表)。したがって、IPv6の回線速度(数百Mbps)に対応していないLANケーブルを使っていると、IPv6の性能を十分発揮できずに回線速度が遅くなってしまう。

LANケーブルのカテゴリー 最大通信速度
CAT5(カテゴリー5) 100 Mbps
CAT5e(カテゴリー5イー) 1 Gbps (= 1,000 Mbps)
CAT6(カテゴリー6) 1 Gbps (= 1,000 Mbps)
CAT6A(カテゴリー6エー) 10 Gbps (= 10,000 Mbps)
CAT7(カテゴリー7) 10 Gbps (= 10,000 Mbps)
CAT8(カテゴリー8) 40 Gbps (= 40,000 Mbps)

IPv6の性能を十分発揮するためには、カテゴリー5e以上のLANケーブルを使う必要がある。ただし、必要以上に高いカテゴリーにする必要はない。ルーターやパソコンのLANポートの速度の上限が1 Gbpsとなっている場合が多いので、カテゴリー5eかカテゴリー6を買っておけば問題ない。実際にカテゴリー5eのケーブルを使ってIPv6接続しているが、特に問題なく使用できている。

LANケーブルのカテゴリーの見分け方
LANケーブルのカテゴリーを見分けるには、ケーブルの皮膜の印字を確認すれば良い。ケーブルの被膜に「CAT.5e」と書いてあれば「カテゴリー5e」のLANケーブルであると分かる。


なお、1箇所でも遅いLANケーブルを使ってしまうと、その箇所の速度で制限されてしまう。したがって、「パソコンとルーター」、「ルーターとONU(ホームゲートウェイ)」など全てのLANケーブルのカテゴリーに注意しなければならない。

IPv6接続でカテゴリー5のLANケーブルを使った場合
実際に、IPv6接続でカテゴリー5のLANケーブルを使って、回線速度を測ってみた。回線速度測定サイトで確認してみると、以下のようにダウンロードの最高速度は83 Mbpsにまで低下してしまっている。


ちなみに、IPv6接続でカテゴリー5eのLANケーブルを使った場合、回線速度は以下のようにダウンロードの最高速度は339 Mbps、アップロードの最高速度は213 Mbpsまで上昇する。


IPv6接続が遅くなる原因2|ルーターやハブの最大通信速度による制限
次に確認しておきたいのが、ルーターやハブの最大通信速度。ルーターやハブなどのネットワーク機器にも最大通信速度があり、その速度が遅い場合、せっかくIPv6で接続しても回線速度は遅くなってしまう。

例えば、NEC製のルーターの現在発売されているモデルを比較してみても、低価格モデルの「WF800HP」は有線LANポートの規格値が100 Mbpsとなっており、IPv6接続で実現可能な数百Mbpsという速度には対応していない(下の画像)。

IPv6接続の性能を十分発揮するためには、LANポート通信速度の規格値、実効値が数百MbpsとなっているWF800HPより上位のモデルを購入する必要がある。

NEC Atermルーター比較ページ:製品比較表 | AtermStation

さらに、ルーターだけではなくハブを利用している場合も、LANポート通信速度の規格値、実効値が数百Mbpsとなっているハブを購入する必要がある。

以下のハブは、LANポートの規格値が100 Mbpsの製品。ハブに「100M/10M Fast Ethernet Switch」と書いてあり、LANポートの規格値が100 Mbpsであると分かる。このように、LANポートの規格値が100 Mbpsとなっているハブを使ってしまっても、IPv6接続の通信速度が最大限に発揮できない。


上記のLANポートの規格値が100 Mbpsのハブを実際に使って、IPv6接続した場合の回線速度を測定してみた。その結果、ダウンロードの最高速度は79 Mbps、アップロードの最高速度は59 Mbpsまで低下した。


上限1 Gbps(= 1000 Mbps)の通信速度に対応したハブは、「ギガビット」や「Gigabit Ethernet」、「1000BASE-T」、「1000BASE-TX」対応などと書かれている。下の画像のように、現在でも100 Mbpsまでしか対応していないハブは販売されているので、購入する際に注意が必要。

Buffaloハブ製品ページ:Hub/LAN用ハブ(株式会社バッファロー BUFFALO)

IPv6接続が遅くなる原因3|IPv6接続が有効になっていない
3つ目は、IPv6接続の設定をしたつもりでも、そもそもIPv6接続が有効になっていなくて回線速度が遅いままとなっているケース。IPv6接続を有効にするためには、プロバイダーのオプションの設定であったり、ルーターやパソコン(Windows)の設定でIPv6接続を有効にする必要がある。

「プロバイダーの設定」、「ルーターの設定」、「Windowsの設定」それぞれの場合に分けて、IPv6接続を有効にするための設定を以下のページにまとめてある。IPv6接続が有効になっていない場合は、それぞれの設定に問題が無いか確認してほしい。

IPv6接続を有効にするためのプロバイダーの設定
まず、プロバイダーのWebページでIPv6の設定が有効になっているか確認する。

2018年9月23日
【BIGLOBE光】IPv6オプションが有効か確認する方法 | 普段使いのArch Linux

IPv6接続を有効にするためのルーターの設定
プロバイダーの設定で、IPv6接続を有効にできたら、ルーターのIPv6接続の設定を行う。光電話を契約している場合と、契約していない場合とで使用するルーターとルーターの設定が異なるので、契約に応じた設定を確認する。

2018年9月22日
【光電話なし】IPv6通信するためのルーターの設定と接続方法 | 普段使いのArch Linux

2018年9月24日
【光電話あり】IPv6で接続できない、IPv6接続が切れる時の対処法 | 普段使いのArch Linux

IPv6接続を有効にするためのWindowsの設定
IPv6接続できない場合、Windowsの設定に問題がある場合もある。Windows上でIPv6接続の設定が有効になっているかという点も重要なポイント。

2018年11月11日
Windows 10でIPv6接続できない原因とその対処法 | 普段使いのArch Linux


参考:
[1]あなたの IPv6 をテストしましょう。

スポンサーリンク

スポンサーリンク


関連コンテンツ


この記事をシェアする

2 件のコメント:

  1. すっきりまとまっていてメチャクチャわかりやすかったです。

    返信削除
    返信
    1. 記事を読んでいただき、ありがとうございました。
      他にもIPv6関連記事を書いていますので、参考にしていただければ幸いです!

      削除